「いない……だろうな」 倉吉の言い方は疑われてもしょうがないというニュアンスを感じたが、おれは何も言い返せない。 「私は蜜姫さんが警官に職務質問されたほうが身の潔白を証明できたんじゃないかと思うんだけど、でもそんな余裕なんてないわよね」 「倉吉が説得してくれたらよかったのに……」 「私だって蜜姫さんから電話で聞いたとき、冷静じゃいられなかった。田中君の顔が見れてようやく落ち着いてきたのよ」 ドキッとするようなことを言われた……ような気がする。 おれは反射的に倉吉の方を見てしまう。