「もう諦めたの?」


ようやく息が整いかけた頃、頭上からけらけらと笑う声。

見上げると、そこには木の幹に腰掛けるあの子の姿があった。

ぶらぶらと足をぱたつかせ、余裕の笑みを浮かべている。


「いつの間にそんなとこに……」


「よっぽど大事なんだね、コレ」


ぱかぱかと開閉させながら、俺にケータイをちらつかせて見せる。