僕はそれから行きたくなかったけど毎日学校へ行った。
百合に会うのはとても辛いけれど、僕は学校に行った。
そして席替えをしてもらった。
理由は百合から離れる為。
それしかない。
今の僕の席は南側の一番後ろ。
グランドがよく見える席。
百合の席は北側の一番前。
僕達はクラスの中で一番遠い。
これで良かったんだ。
百合と同じだった学級委員も一学期で終わったから、もう僕は百合との関わりがなくなった。
でも僕はあの指輪を大事にポケットの中にしまってある。
百合の左手にも指輪があった。
僕達は別れた訳ではない。
別れるとは言ってないから。
でも僕達は一言も喋らない変な関係。
僕が学校から帰ろうとした時、僕に話があると呼び出した人がいた。
それは滝川先輩。
『お前…ちゃんと百合と話したか?』
『してない』
『は?してねぇの?』
『俺はもう百合を好きじゃない』
嘘つきな僕。
『…悪かったな。実はあの時……』
『聞きたくないんで』
僕は先輩を置いて帰った。
滝川先輩の話なんて聞きたくなかった。
滝川先輩からじゃなく百合から聞きたい。
百合から聞きたい。
僕が本当の真実を知るのは5年後のあの日だった。