一歩、一歩と

後退りをする。



心がピキーンッて

凍り付いた感じがする。



分からない。

分からないけど、

ここにいちゃ

ダメな気がする。



「だれ」



トントントントン!

トントントントン!



「あなたは、だれなの」



トントントントン!

トントントントン!



「お母さんは、どこ」



トントン…………



上下に動いていた腕が

ピタリと止まる。



「っ」



一瞬だけ、

僕の息がつまった。



ギ……ギ…ギ……

ギギ……ギギ……

ギギギ……ギ……



まるで

ロボットが動くときに

流れる機械の音が、

目の前のヤツが首をひねり、

こちらを見ようとする際に

首から聞こえてくる。