部屋で二人になる。 少しの沈黙の後、先輩が口を開いた。 「ごめんね、強引に連れてきちゃってさ。…あ、俺、如月優介(きさらぎ ゆうすけ)。よろしく。」 「あ…杉科柚杞です。」 優介先輩は、にこりと微笑んだ。 「あ…あの!さっき…助けてくれましたよね…。ありがとうございました。」 私は優介先輩に向かって頭を下げた。 「何にもしてないよ、俺。」 微笑みを絶やさないまま、優介先輩はそう言った。