「二人、来たみたいだよ。」
夏樹先輩じゃないほうの先輩が後ろを見ながら言った。
「おっせーぞ未来!智晴!」
ドクン…
心臓が騒がしく音をたてる。
智晴って…
「ナニコレ。俺、聞いてな…」
聞いてない、そう言いかけて、智晴先輩は私に視線を注ぐ。
一瞬、空気が止まる。
…そんな気がした。
「…ナニコレ。俺、カラオケとしか聞いてないんだけど。」
智晴先輩が夏樹先輩を睨みながらもう一度言った。
…そんなに、私と会いたくなかったのかな。
どうしても、悪い方向に考えてしまう。
…やだ…
こんなとこで泣いても、迷惑かけて、浮いて、それだけなのに。

