「ゆ…すけせん…ぱっ…」
どうして、優介先輩は私にこんなにもよくしてくれるんだろう。
「私っ…優介先輩みたいに優しくなりたいのに…なのに、自分のことしか考えられない自分がイヤで…」
ちゃんと、智晴先輩の幸せを願いたいのに。
なのに、自分のことでいっぱいいっぱいで。
しゃくりあげる私の背中を優しくぽんぽんってしてくれる優介先輩。
「…柚杞ちゃんは、優しいよ。こうやって、智晴に幸せになって欲しいってちゃんと願えてるんだから。」
「でも…。」
「それに、智晴の幸せがどこにあるかなんて、智晴にしか分からないんじゃない?」
優介先輩の言葉の意味がわからなくて、私は優介先輩の顔を見た。
「…どういう意味ですか?」
尋ねると、優介先輩は少し考えてからいきなり立ち上がった。
「…ついてきて。本当はダメなのかもだけど…でも、柚杞ちゃんに笑ってほしいしね。」
そう言うなり、優介先輩は私の手を引いて歩きだした。

