「いや…そんなことないよ。」

俺は自分の顔を触りながら舞花に返事する。




「智晴、幼くなったわ。」


「…退行したってこと?」

舞花に眉を寄せて尋ねると、舞花は少し考えてから口を開いた。




「年相応の反応をするようになったの。今までの智晴は、感情が分からなかったのね。なんだか全てに冷めてる感じ?…でも今は、変わったなぁ、って。」


「……。」


「…智晴、だから私ともけりをつけようと思ったんでしょう?」



舞花の鋭い読みに、一瞬動揺してしまう。
何も、言えなかった。