「優介先輩。先輩は、私の一番大切な『先輩』です。」



思わず私がそう言うと優介先輩は微笑んで、静かに頷いてくれた。





「ありがとう、柚杞ちゃん。…じゃあ、ね。」





先輩は、微笑みだけを残して屋上から出ていった。







青い、青い空を見上げる。



私たちは、どうして傷つかなきゃいけないんだろう。
…どうして、傷つけなきゃいけないんだろう。
みんな、ただ…
ただ、真剣に人を好きになるだけなのに。




人を好きになるから…
私たちは痛みを知る。
大切な人を想う痛み。
大切な人を失う痛み。


痛みを知った心は、迷子になる。
自分の心の居場所が、分からなくなる。





それでも、私たちは前に進まなきゃならないんだ──…