「…でも、柚杞ちゃんは俺を利用しなかった。」



「……。」




「…俺は、今日から柚杞ちゃんの『先輩』だから。だからさ、悩みとか愚痴とかあったらさ、相談してよ。柚杞ちゃんは一人で抱え込んじゃうタチでしょ?だからさ!」



いつもの微笑みに、少しのイタズラっぽさと…
切なさを含んで、優介先輩はそう言った。




「…優介先輩は、優しすぎます。そんなんじゃ、悪い女の子に捕まっちゃいますよ…?」


先輩の優しさにまた溢れだしそうになる涙をこらえて、私は冗談混じりに言う。



「…キツいこと言うね、柚杞ちゃんは。まぁでも、気をつけます。」


少し改まって返事する優介先輩に、私は思わず笑ってしまった。







…優介先輩、ありがとう。
最後の最後まで、私のことを心配してくれて。
私が責任感じないように、笑わせてくれて。