智晴先輩としばらく他愛ない話をしていると、先輩のケータイが鳴りだした。



「ごめん、ちょっと出てくる。」

そう言うと、先輩は席をたって外に出ていった。
意外とマナーとかきちんとわきまえてる人なんだなぁ…なんて、窓越しに先輩を見る。





しばらくは普通に話していたけど、だんだん…
先輩は落ち着かなさそうに指を足の太ももあたりでトントンと動かしだした。
先輩の顔はみるみるうちに曇って、眉間にシワがよってきた。





そして、なぜか…
泣きそうな顔をしている。
私が見てきた智晴先輩の表情の中で…
一度だけ、この表情を見たことがある。





あぁ、きっと…
先輩の電話の相手は…




『舞花』だ──…