…私は、忘れていた。 先輩には、好きな人がいること。 私にはとうてい勝つことのできそうにない、智晴先輩が今までで唯一好きになった人。 …女の子が憧れるような、そんな人。 先輩と過ごす時間が穏やかすぎて、私にとって幸せで。 それ以外、何も考えられなくて。 私は、忘れてしまっていたんだ… 『舞花』の存在を──…