「久々に食って帰ろうかなーって思って。テーブル他に開いてないし。ここ、いい?っつっても、アンタに拒否権ないけどな。」
そう言うなり、ドーナツを頬張る智晴先輩。
「…先輩、ドーナツとか食べる人だったんですね。」
単純に疑問に思って、私は思わず聞く。
智晴先輩は眉間にしわをよせたあと、どういう意味だよ、と私を睨んだ。
「あ、いや、なんか野菜ばっかり食べてそうなんで。」
「意味わかんねー。」
「だって先輩、シマウマに似てるから。あ、もしくは馬です。よく言われません?シマウマに似てるって。」
うん。
先輩を動物に例えたら、シマウマか馬だ。
とにかく、馬系統。
颯爽と走る姿が、どことなく先輩を連想させる。
「じゃ、アンタはリス。」
少し考える仕草をしたあと、先輩は思いついたように言った。
「リス?小動物系ですか?」
先輩には、私は小動物系にうつってるんだ、とほのかに胸がキュンとした。
「いや、なんか、食い意地張ってそうじゃん?リスって、冬が近づくと木の実で口いっぱいにして巣に帰っていくじゃん?あれとそっくり。」
くっくっと喉で笑いを堪えながら、先輩はそう言った。
「なんですかそれ!ひどいじゃないですか!」
私は真っ赤になって抗議する。
それを先輩は可笑しそうに見ていた。

