…やっぱり、普通帰るよね。
夏樹先輩の暴走を止めるという目的は果たしたワケだし。


…なに、期待してたんだろう。
少しガッカリしている自分にびっくりして、私はぶんぶんと頭を振った。




「はぁ…。」


それでも、ため息がこぼれてしまう。
だめだな、私…。





「なにデカいため息ついてんの?幸せも逃げるよ?」


かたん、と私の前の椅子が引かれて、机に私のとは別の茶色いトレイが置かれる。




「…え?」

「…ふっ。間抜けな顔。」



視界にうつるのは、可笑しそうに微笑む智晴先輩。