タンッと小気味いい音と一緒に、智晴先輩が落ちてくる。
「っ先輩!?そんなことしたら骨折…」
思わず目を瞑る。
いくらなんでもあの高さから飛び降りるって無理でしょ…!?
「……。」
「ばーか。俺、お前ほど運動神経悪くないから。このくらいの着地とか楽勝だし。」
スタンと音がしたかと思うと、目の前には先輩の姿があった。
「もう、見てるこっちがビビりますよ!無茶しないでください!」
私が叫ぶと、智晴先輩はまた意地悪そうに笑った。
「先輩は、もっと冷徹な人だと思ってました。ちゃんと人間味のある人だったんですね。」
ベンチに座って、私はしみじみと話す。
「…おい、それってどういう意味だよ?」
智晴先輩が眉間にシワをよせる。
「そのまんまの意味ですよ。先輩も笑ったりできるんですね。」
私が言うと、先輩は黙ってしまった。

