「俺、運動神経悪くないし。」
そう言うと、智晴先輩はひょいっと木の枝に飛びのって、あっという間に上の方まで行ってしまった。
「せんぱーい!?」
私がよびかけると、枝の間から顔を出す先輩の姿。
「どう?ちゃんと分かった?俺が文武両道だってこと。」
得意げに笑う先輩。
…思わず、息を呑んだ。
先輩、その笑顔、反則です…。
「おい!高科!聞いてんの?」
先輩に名前を呼ばれて、はっと我に返った。
「聞いてますよーっ!」
先輩に向かって、おもいっきり叫ぶ。
…え。
今完全にスルーしちゃったけど、智晴先輩、今…
高科って呼んだよね。
今までアンタ、だったのに。

