王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】



でも。

とりあえず、ミツがさっき言った言葉はあたしの受け取り違いだな。

大切に想ってる相手に、「大切に想ってる」なんて告げた直後にあんなケンカできるハズがないし。


……だけど。

ミツは、誰か好きな相手ができたら、あんな顔を見せるんだ。


そんな事を考えたら、胸がちくって痛かった。


いつか、ミツを一番知ってる女の子はあたしじゃなくなって。

いつか、あたしを一番知ってる男の子はミツじゃなくなる時がくるんだ。


そんな事を考えちゃって。

その日のパスタは、あまり味が分からなかった。





なんなんだろう。
なんなんだろう。
なんなんだろう。


「……って、うるさいよ。声に出てるから。何度も何度も『なんなんだろう』って」


ぺしっと頭を叩かれて、顔を上げる。

思いっきり顔をしかめたひかりと目があって、頭を押さえながら聞き返す。


「え、出てた?」

「出てたよ。ぶつぶつうるさいから、何か言いたいなら言って」

「……なんか、おかしいんだよね。あたし」


素直に白状すると、ますます顔をしかめられる。