親太郎は、どこまで聞いたんだろう。


“再発”


嫌な言葉。


退院の見込みはないってことも、もしかして知ってる?


でも……

そんなの信じたくない。


親太郎は、またきちんと治療を乗り越えてあたし達のもとに帰ってきてくれるんだから。


絶対、また同じ教室で授業を受けるんだから。


退院して、またみんなで高校生活を全身で楽しむんだから――。




あたしは、親太郎のいない学校で夏休みを迎えた。


3年生には、当然ながら夏休みなんてものは存在しない。


毎日毎日補習授業。


進学組にとっては、地獄の始まりだ。


あたしも、拓海くん達と一緒にこの溶けるような暑さの中、教室に閉じこもって勉強をした。