「つか、知らないんだな」

「何が?」

「いや、何でもない」


持っていた最後のひときれを口に入れて、トージは立ち上がった。


「じゃ、今日は軽く練習して終わりにしようぜ。明日試合だし」

「あ、そうだねっ!」


私も最後のひときれを口に押し込み、アップルティーを飲んだ。


「明日は敵か~。虎鉄の応援ばっかりしたらオレ泣いちゃうな」

「じゃ、こっそり心の中では応援するね。トージの事」

「サンキュ~」


ボールを持ったまま笑い合う。




この時、私はもちチーズのたい焼きに秘密があった事なんて全く知らなかった。




そして、この日の行動が後に大騒ぎになるとも…。