『そ、そんなわけないじゃないっ!』



最後に怒鳴りつけて本屋を飛び出した私…。


あの時の彼が、今私の目の前にいる人…?




「あ、えっと…あの時はごめんなさいっ!失礼な事をしてしまって…っ!」


急に体中の毛穴から汗が吹き出るような感覚がした。

それくらい恥ずかしさがこみあげてきて、私は慌てて頭を下げる。


「オレの方こそ申し訳ない。土足で踏み込むようなマネをして…」


この人、何ていい人なんだろう…?

私が悪いのに、自分にも非がある事を謝ってくれてる。


虎鉄の友達だし、やっぱりいい人なんだ…?


「まあ、済んだ事だし、あの事はもう忘れよう。…ね?」

「はい…」


そう言われたから、私は頭を上げて彼を見た。