「誰ですかー?」 返事はない。 「気のせいかな」 ガッカリと肩を落として、庭に投げ出した足をばたつかせる。 (勘の鋭い子やなぁ) と、苦笑して隠れた人がいたなんて気付かずに。 「おい」 「きゃあ!」 突然かけられた声にビックリしてる間に、その声の主、斎藤さんが私の隣に腰かけた。 「斎藤さん」 「…驚かせてしまったなら悪かった」 「い、いいえいいえ、どうしたんですか?」 「何をしているのかと思ってな」 「絶賛暇中ですよ」 斎藤さんは一つも笑うことなく、そうか、と答えた。