「ふざけるな。彼女の監視が俺の役目だ」


相変わらずクールな斎藤さんは、ストンと私を床におろす。

原田さんはまだやいやいと何か言っているけれど、斎藤さん総無視で、話しの合間に


「原田さんと永倉さんの組、次巡察ですから」

「そ、それを早く言えよ!」


用件を持ち出す。
原田さんも永倉さんも慌てて廊下を歩いて行き、急に縁側が静かになった。


「また助けてもらって、ありがとうございます」


くるりと斎藤さんに向き直り、頭を下げると、斎藤さんは無表情を浮かべたまま私を見下ろした。


「礼には及ばない。俺はあんたを助けた覚えはない。原田さんと永倉さんに用件を伝えたかっただけだ」