「でも今死ぬんやったら本望やわ、惚れた嬢さんに抱き着かれて、
でも最後まで新選組に残りたかったなぁ」
「何死ぬ前みたいなこと言ってるんです山崎さん」
根性まで腐ったんじゃないですか?
いつもみたいに狐顔で笑ってくださいよ……、
不本意に流れる涙が山崎さんの着物を濡らす。
「桃、そろそろ労ってくれへん?」
「無理です馬鹿山崎さん」
「かなんなぁ」
山崎さんはふっと笑って私の頭を撫でた。
「楽しかったで、」
山崎さん……?
山崎さん…………
初めて山崎さんと会った時を思い出した。
土方さんの命令で私を見守ってくれていた山崎さん。
ピンチの時にどこからともなく現れて私を救ってくれた。
新選組の影となって、
時代を駆け抜けたこの人もまた、誠の武士なんだって
綺麗に片付けられるほど私も優しくはない。
こんな時代は真っ平。
飽き飽きする。
それなのに、涙が溢れて止まらない。
「山崎さんっ……っ!!」
『じゃあまた』
『俺は山崎すすむ。新撰組監察方、命令であんたをみはらしてもうてた』
『うそお!』
『ほんま。つまみ食いしてたのも、ここでねこけてたのもしってんで?』
『えー!!』
『……危ないなぁーあんた』
『俺は桃に惹かれてるよ。』
『笑うなよな。……俺が言ったんやからお前も頑張れ。後悔しないくらいもっと好きになればええやろ。どんなことがあっても信じられるくらい堕ちればええねん』
また、きっと。

