歴史の星空に飛び込んで



「……沖田さんと私であんたの護衛を頼まれたのに、あんたを守ることはできなかった。すまなかったな」



よしよしと頭を撫でてくれる斎藤さんはお兄さんみたいで大好きだ。



「そんな、斎藤さんは色々なお仕事が重なって大変でしたから、こちらこそ面倒なことなのに気にかけてくださって悪いくらいです」



最初は嫌われてるんじゃないかってくらい無視されてたけど、

それも斎藤さんだからね。



「……私が沖田さんだったらと考えたことがある」

「?」


斎藤さんが沖田さんだったら……?

傍にいたのは斎藤さんってこと?
それって……



「ふふ、じゃあ私は沖田さんに振り回されることもなく、ずっとこうして頭を撫でてもらえますね、
でも斎藤さんに無視され続けたりするんだろうな」


ふっと斎藤さんが笑った。
あながち無視するつもりだったんだわ……!



本当に、本当に優しく斎藤さんが笑うものだから胸が締め付けられるほどに驚いた。



「……(それでもどうせあんたは沖田さんが好きなんだろう)」

「…?」


斎藤さんは私をじっと見つめて目を閉じた。
なんだろう?


そして次開いた時には目の色がかわっていて、少したじろぐ

こういう時の斎藤さんの話しは絶対しっかり聞かなきゃいけない時の話しだから。



「山崎さんに口止めされていたから言うつもりなかったが、やはり、言う。

山崎さんは鳥羽伏見の戦いで頭を斬られ、今は寝たきりの状況だ。

奥の部屋にいる。行ってやってくれ」

「……………………………ぇ………」



喉がカラカラになった気がした。
嘘でしょう……?