気を入れてもやっぱり中の菅野を気にする斎藤は優しく襖を開けて

それからよりいっそう顔をしかめた。



「あ!戻って来てたんですか斎藤さん。お帰りなさい!」


布団で眠る菅野の傍らに座る沖田総司その人。

なんであんたがここにいる。



「菅野さんに会いに来たんですか?菅野さーん、斎藤さんですよー」


ヘラヘラと笑みを浮かべる沖田を斎藤はすぐにとめた。

自分も傍らに座り込み沖田を睨みつける。



「……起こさなくていい、ていうかなんでいるんだ」

「え?いいんですか。思ったより早朝は寒かったので菅野さんに布団をもう一枚持って来たんですよ」



あんたそれでも病人か、とツッコミたくなったけれど斎藤は呆れて何も言わなかった。



「……菅野さんがいない一年間で、日本は大きく動いたのに、菅野さんはかわらず笑っていてくれたので、私ホッとしました」



沖田の菅野を見つめる瞳は誰にも敵わないくらい優しかった。

視線をたどり自分も彼女を見る。



沖田に便乗するわけではないが、
そのままの彼女でいてくれたなら、自分も嬉しい。

これからどんな時代の荒波に飲まれても、
彼女にはそのままでいてほしいと思った。


「彼女を頼んだ」

「え、もう行くんですか?」

「ああ、またな」


次は笑いかけてほしい。