「キタジ君?」
思わず名前を呼んでみる、するとキタジ君が話しだした。
「……本当に行くの?」
そんな心配そうな表情を浮かべて、どうしたと言うのだろうか今さら。
「うん、行くよ?」
「桂先生が言ってた通り、近いうち、幕府は無くなる……菅野さんがいなくなった一年で日本は大きくかわってしまったから。
危ない、新撰組に帰ったら、死んじゃうかもだよ……」
ああそうか、心配してくれてるんだ彼も。
話しだしたキタジ君はだんだん泣きそうな顔になってきて少し可愛かった。
「会った時からそんなふうに、いっぱい話してくれたらよかったのに」
だから話し方がついついこんなふうに上からになってしまうんだよね、
今の大人っぽくなったキタジ君には失礼だけど。
キタジ君は私の言葉に一気に赤面した。
きっと自分でも驚いてるんだと思う。
「……っ、……、」
苦渋の顔を浮かべるキタジ君に、私はそっと笑ってみた。
「心配してくれてありがとうキタジ君。
その気持ちだけで私は十分だよ」

