見えないキタジ君の本性に驚くなか、桂さんは諦めたように私から手を離した。
「なんで場所がわかったんだか」
「先生、裏はこっちどす」
「涼香はいったい誰の味方なんだか」
「うちは傍観者どす」
「キタジの本領はいつ発揮されるんだか………あっ、本!」
あ、くそ、ばれた。
こっそり懐にいれようとしたら桂さん思い出しちゃったよ。
「出しなさい桃」
「それはちょっと」
「コラッ、そんな子に育てた覚えはないぞ」
「育てられた覚えないです!」
だーっ、早くいってよ!
なんて願う中、桂さんは無理矢理私から本を奪おうとした。

