「“君に贈る”って書いてあるわ」 幾松がそう言ったのに桂は小さく頷いた。 「物語のようだ、」 表紙に女の子が男の子に贈り物をしている絵が書いてあるその児童書は、 まさしく桃があの日探していた本だった。 小学生の時に読んで、ふとその時また読みたいと思ったその本。 まさかその本と共にタイムスリップしたことも知らない桃。 この本のどこにも未来の手がかりはない、 それでもこの本には何かが隠されているんだろう。 「……桃ちゃん、元気にしてはりますやろか」 幾松はまた、そうボソリと呟いた。