お登勢さんが、ね。沖田さんではないんだなこれが。
豪快な印象を残してお登勢さんは部屋を出ていった。
「…………………」
「…………沖田さん?」
もういいでしょうか?と表情をいつも通りに戻して目を開ける。
「いや、……」
見ると沖田さんは真剣な表情を浮かべて耳をすましていた。
「声が聞こえますね、隣の部屋でしょう。私達も気を抜かない方がいいかもしれません」
と、いうことは
この赤面夫婦の役を続行ってことですか!!
それはキツイっ!
上半身を起こしてムリムリと沖田さんに嘆願する。
だって、それって沖田さんのことを
「総司さん」って呼ばなきゃ駄目ってことだし!