「こっち」 山崎さんは唖然とする私の手を引き進んで行く。 それからしばらく走って、私達は大きく長く続く塀の隣を走った。 「ここが天皇さんのいはる御所や」 ふ、ふーん 何て言うか、大き過ぎてよくわからない。 私は中の想像もつかない塀を見つめる。 「久坂さんがいますか?」 「………多分な」 笑ってるのかな泣いているのかな怒っているのかな 久坂さんは今何を考えているんだろう。 何もわからないのはとても苦しい。 「とまれお前達!」 唇を噛み締めていたら急に怒鳴り声が聞こえてきた。