どうせ久坂さんはニヤリと私に笑っているんだろう。
ムカつく性格してるから。


ゆっくり顔を上げると



「………へ……?」



ちゅっと頬に口づけられた。


え、え、え、ぇえ!?


パチパチと瞬きを繰り返し久坂さんを見る。



「な、な、な!?」

「未来に帰してやれなくてごめん」



そう言った久坂さんはその後私の耳で小さく囁き、

風のように去っていった。



ズルイ。

ずるいよ久坂さん。




『本気でお前を愛してた』



お前って言うなってば………、

涙がポタポタと着物を濡らしていく。



久坂さんはもう行ってしまったんだ。