沖田さんの表情はいつもと同じ微笑を浮かべていて、あぁ、あれは仮面なのだとふと思った。
彼の瞳はしっかり橘さんを見据えている。
「……菅野桃」
「……………」
「桂先生が、迎えに来るそうだ」
!!!
シャキンと一瞬のうちに沖田さんの刀が抜かれた。
「……話しをじっくり聞きたいですね。
でも」
沖田さんの刀が橘さんににじり寄る。
私は沖田さんを見ていた。
チラッと沖田さんは私を見て、それから
一瞬、歯を噛み締めるように仮面を壊す。
「皆さん一旦刀を下ろして下さい。」
そう沖田さんが言った瞬間、橘さんは隙をつくように部屋を飛び出した。

