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「はい、針と糸だよ。おさいほうでもするの?」
「斎藤さんの隊服を直すのですよー」
屯所に帰ってすぐに平助君に針と糸を貸してもらった。
「へぇ。あ、僕も手伝うよ」
「え!そんな、大丈夫ですよ」
「僕のも袖が破れてきたからさ、直すついでに」
「そういうことでしたら」
平助君のもやらしてもらおう。
明るい所、と探して広間の縁側近くに座った。
「ん?二人して何してんだ?」
「永倉さん!」
どこからか帰って来たのか、中庭から入って来た永倉さんに、少しビックリした私。
「永倉さんまた島原ですか?」
平助君は永倉さんがどこに行っていたのか知ってるみたい。