…… 「…元?」 体育館にしゃがみこんだままの麻子が、不思議そうに、俺の顔を除き込む。 ─ああ、これはあの時の… 気持ちを伝え損ねた、あの時だ…… 握っている麻子の手から、麻子の熱が伝わってくる。 ″好きだ″ 好きだよ。 だから、何処にも行かないで。 まだ、ここに居てよ。 麻子が逃げてしまいそうで、麻子が消えてなくなってしまいそうで。繋がった手に、力を込める。 「……麻子、俺……っ」 ─バンッ! ……