ラスト・ゲーム




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「何かあったの?」

家のテーブルの上に並ぶ色とりどりの料理に、目をチカチカさせて、俺は言った。


「さぁ~元ちゃん、なんだと思う?」


母さんは嬉しそうに顔を輝かせて、答える。


(親父の誕生日?…ちがうよなぁ…母さんのは先週だったし…)


真剣に悩む俺に、母さんはなおも嬉しそうに答えた。

「お父さんと、お母さんの、結婚記念日よ!」



…知らねぇよ、そんなの。


「あれはまだお母さんが高校二年生だった時…」












…母さんの話は、永遠に続くのではないかと思われた。



しかし次の瞬間、

″ピンポーン″


親父の帰宅を知らせるチャイムの音。

おかげで俺は、母の本人いわく「甘酸っぱーい思い出」話から解放された。


…親父とおふくろは、高校からの付き合いで見事ゴールイン、らしい。


二人とももう結婚してずいぶんになるが、とても…いや、異常に…仲がよかった。