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ほんのり光が漂う、バスケットゴールの下。

ここが俺の始まりで、自分をさらけ出せる、唯一の舞台だって、俺はもう知っている。


少し錆びて色褪せたこのゴールは、その光を浴びて鈍色に輝く。



─それはまるで、俺と親父の歴史を物語っているかのように。



小さく背中を丸め、特に乱れてもいない靴ひもを、きつく結び直した。




「元也、やるか」


『勝負』の始まりを告げるのは、いつも親父の太い声だ。


立ち上がって顔を上げると、月明かりの逆光の中…黒く浮かび上がる大きく広い背中。


この時だけは、俺は無心になれる気がする。



向かうのは一点。

目指すのは一つ。




研ぎ澄まされた俺の全神経を、指先からボールに注ぎ込んで。


俺は、



一歩を踏み出した。