親父のセリフは先ほどと同じだったが、全く違う重みを持っていた。 …親父は俺のこと、本当に何でもわかるんだな。 ポン、と頭に厚みのある手のひらを感じて、顔を上げる。 「じゃあ3分後、バスケットゴールの下に集合だ」 親父はそのままおれの頭をコツンと小突いて…さすがにスーツを着たままじゃなぁ、と笑って二階に上がっていった。 小突かれた頭に、くしゃりと触れる。 触れた手の先から、暖かいものが流れ込んでくるような気がした。 …親父は、なにも聞かなかった。 それが、嬉しかった。