「…さっきの話だけどさ、翔太」



小さな声で、翔太の背中に呼び掛ける。



「ん?」


気の抜けた返事。

それに若干安堵して、そして、もう一度息を飲んだ。






「俺……好きだよ」









─少しの間。






ふりかえった翔太は、実に申し訳なさそうな顔をして言った。



「俺…そういう趣味ないんだけど」

「お前じゃねえよ!」



…思わずでかい声でツッコんでしまった俺。

教室中からクスクス笑いが起こった。


「…早水くん?よっぽど自信があるようだから次の問題答えてくれるかな?」

先生はニッコリ笑って、真っ白なノートを所有している俺に、そう言った。



「…あ~…えーと……5番?」


適当な選択肢を言った俺に、先生はまたニッコリ笑って告げる。


「選択肢は4番までしかないと思うんだけど?」



クスクス笑いが、笑いの渦に変わった。


翔太は腹を抱えて涙ぐんでいる。




…ちくしょう、後で覚えてろよ。