ラスト・ゲーム








……走った。





ただひたすらに走った。





時間の制限などはない。






俺たちは、まるで全てを出しきるように、





…力の限り、走ったんだ。











□□





太陽がオレンジ色に染まる頃には、俺たちは一人残らず体育館の床に倒れ込んでいた。


服は汗でぐしょぐしょになり、髪もボサボサ。走れる限界まで走ったせいか息を吸うと肺が痛いくらいだ。




…でも不思議と、心は今までで一番軽かった。




みんなそれぞれに、笑っていた。



顔に、充実感と、達成感を浮かべながら……



放り出された四肢。

生き生きと息づく死体は、心臓を上下させて体育館の冷め遣らぬ熱を吸い込む。


様々に笑った後の、少しの沈黙。

それはとても心地よい、空白だった。




「なぁ、部長から一言言っていいかな」


俺は体育館の天井を見つめたまま…



…そう言った。