……走った。
ただひたすらに走った。
時間の制限などはない。
俺たちは、まるで全てを出しきるように、
…力の限り、走ったんだ。
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太陽がオレンジ色に染まる頃には、俺たちは一人残らず体育館の床に倒れ込んでいた。
服は汗でぐしょぐしょになり、髪もボサボサ。走れる限界まで走ったせいか息を吸うと肺が痛いくらいだ。
…でも不思議と、心は今までで一番軽かった。
みんなそれぞれに、笑っていた。
顔に、充実感と、達成感を浮かべながら……
放り出された四肢。
生き生きと息づく死体は、心臓を上下させて体育館の冷め遣らぬ熱を吸い込む。
様々に笑った後の、少しの沈黙。
それはとても心地よい、空白だった。
「なぁ、部長から一言言っていいかな」
俺は体育館の天井を見つめたまま…
…そう言った。



