ドアを乱暴に閉めると、ベットにそのまま倒れこむ。
襲ってくるのは『後悔』なんかじゃなかった。
…もっと重たい、もっと冷たい、今の俺を客観視する、もう一つの自分の視線─。
「……っ、」
枕に息が出来ないほど、顔を埋めた。
守れなかった。
俺は、俺の守りたいものを…麻子を、翔太を、そして親父すら傷つけ、裏切った。
守りたいものを、守れなかった。
自分のしたことを、自分でも信じられなかった。
(俺は…何てことをしたんだろう…)
ベットに深く、身体を沈める。
馴染みのあるこのベッドだけは、スプリングを小さく軋ませて…俺を拒否せず迎えてくれる気がした。
─明日、すぐに親父に謝ろう。
そしたら親父は笑って、きっとまた俺の頭を小突くんだ。
『まだまだだな』って。
笑ってそう言うんだ。
急激な眠気に襲われ、俺はベットにうつぶせに沈んだまま、深く…深く、眠りに落ちた。



