吉崎:「私さ、お父さんもお姉ちゃんも…お母さんもしっかりした人で…。お姉ちゃんにいつも言われてたんだ。奈緒はいつまで経っても子供だって。お父さんは、偉い人でお姉ちゃんもそれに答えて、医者になって立派に育ったって父に恩返しするんだって言って。それに比べたら奈緒はまだまだだって言うの。勉強だって頑張って、家事だって頑張って、でも…それがいつもプレッシャーになってて…。」


つい、俺はドアにもたれて聞いてしまう。

吉崎はそういう事俺に何も言わないから…。

やっと、吉崎の考え方が少し分かった気がした。


吉崎:「先生って皆しっかりした人に見えるんだよね…。」

今野:「確かにね。だから、好かないんだ?」

吉崎:「…かな?、しっかりしなきゃって、頑張ってるのに、高木先生が子供だって言うんだもん!!」

…。いや、あれは良い意味で言ったんだけど。


何だかんだ怒りながら、俺に弁当作ってくれんだから…。

クスクスと笑ってしまう俺に…その肝心の弁当を屋上に置きっぱなしなのに気付いてしまう。


しまった!早く注意しないと…弁当ばれたら、言える立場がねえ…。