高木先生:「…で!吉崎は何でこんな所にいるんだ?」


廊下の先でさっきの1年生達が私をチラチラと見てる。


「えっと……。あ、そう!三浦先生を探してて…。」


高木先生:「…何だ、俺じゃないのか。化学聞くのか?」


私の持ってるプリントを見て高木先生が答える。


「え!?あ…これはちょっと頼まれまして…。」


高木先生:「ふーん。三浦先生なら数学準備室かな?5限は1年の数学だろうから。」


「そうなんですか。分かりました!ありがとうございます。」


あ、話終わっちゃった。自然と足がその場を離れようとしない。


三浦先生の所行かなきゃなんだけど…。



だって私が、今離れたら高木先生は、あの廊下の先の1年の子達に教えに行くんでしょう?



何か、嫌。



高木先生:「ん?何だ、どうした?」


不意に覗き込まれ、ドキッと心臓が飛び跳ねる。

思わずクルリと背中を向けて、「何でもないです!さよなら!」とダッと走り出す。


何?さよならって!もう、私のバカ!


可愛いくないなぁ私。こんなんじゃ、嫌われちゃうよ。



恋をするとどうしてこんなに弱くなっちゃうんだろう。