「はい…。」




今度はギュウッと力強く私は高木先生に抱きしめられる。



高木先生の腕の中にすっぽり収まってしまう私は精一杯手を伸ばして先生を抱きしめた。



首元に、ポタッと落ちる、それが先生が流した涙だとすぐに分かった。



そんな状況にまた、涙が溢れ出してしまう。




先生が、泣いてる…。



抱きしめられる先生の腕の中は、暖かすぎる。




鼻を啜り、何滴か先生の涙が私の首元を伝う。



高木先生:「…悪いな…。」



謝る先生に私は聞いた。



「…安西先生は…先生にとってどんな人なんですか…。」



凄く気になっていたこと。


高木先生のあんな笑顔を一瞬で引き出しちゃう安西先生が、羨ましかったの。




高木先生:「安西先生は…俺にとって、…親父のような人だった。」



そう言葉にすると高木先生はまた、ギュウッと腕に力を入れた。





高木先生:「吉崎が…そばにいてくれて…良かった。」



その言葉が心に響く。










もう、安西先生はいない。


だけどその存在は…
いつまでも残る。



私達が生きている限り。