――ドンドン 感情的にドアを叩いたような、せわしい音が玄関から響く。 チャイムがあるのにドアを叩くのは、それだけ急いでいるからなのか、 とにかく、普通じゃないこの音に、俺は疑問を覚えた。 …もう、夜中の10時なのに、何かがおかしい。 『よいしょっと。』 軽く親父みたいな声を出しながら、ソファーを立ち上がる。 なんで、こういう時に限って親父もお袋もいないんだろうか。 面倒くさい。 つか、腰が重たい。