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 僕たちは研究室に入ってからすぐに、置いてあったパソコンを立ち上げ、ネットで文献を見出す。


 今はドイツ語関係の資料は全てパソコンに取り込んであり、僕も慧子も、そして哲弥もネットを通じて関係文献を閲覧する。


 資料庫は研究室の奥の薄暗い部屋にあって、僕たち研究員はあまり行かない。


 上原先生もたまに研究棟にある部屋から出てこられて、研究室に来られる。


 さすがに先生は昔の人なので、パソコンじゃなくて、資料庫を覗きに行かれていた。


 僕たちは基本的に上原教授の講義は好きだ。


 和気藹々(わきあいあい)というか、普通に楽しいのである。


 ドイツ文学を専攻している僕も哲弥も、そして地理・民族史専攻希望の慧子も上原先生の講義には欠かさず出ている。


 それに僕自身、普段はネットなどで『ファウスト』に関する事項を調べ上げながら、そういったものを随時取り込んで、持っているフラッシュメモリに保存していた。


 これは卒論に使うつもりでいたし、いずれは院試の勉強をする際の参考資料としても使おうと思っている。