悪かったわね。
料理しなくて……。


睨んでやると「で、何を見てんの?」と、今度はちゃんと携帯に興味を示していた。



「んー、ちょっと会社を調べてた」


今は凄いよね。

パソコン無くても、携帯があれば何でも出来るような時代なんだから。



「会社? 欄、仕事変えるん?」


眉をハの字にしながら、見上げてくる皐月に、あたしは笑顔を向けた。


会社なんて言ったから、きっと勘違いをしたんだろうから。



「辞めへんよ。
ちょっと知り合いの会社を調べてみただけ」


「そうなん? なら、良かった!」



ホッと胸をなでおろし、止まっていた箸を進めた皐月。


この会社は若い人が少ないから、入社して仲良くなったのは皐月くらいなんだ。


男なら、年齢近い人多いけど、やっぱり同性の仲間がいないと寂しいじゃない?


だから、皐月は不安になったんだと思う。



「てか、桂木さん彼女出来たらしいよ」


「……そうなんやぁ」



携帯をポケットにしまった時、皐月は少し離れた場所で食事をしている先輩を見ていた。


桂木先輩、彼女出来たのか……。