「それで多分、美月の学校に戻るよ」

「え!? だって辞表……!」


それに、もう新しい臨時講師が来たよ……?


驚くあたしに、先生は悪戯っ子みたいに口の端を上げた。


「実は、理事長俺のファンなんだ」

「……は?」

「今来てる人は、俺が戻るまでの繋ぎらしいよ? 辞めてからも理事長に凄い説得されて、それもあるかな。教師続けようかなって思った理由」


な……何、ソレ。


確かに理事長室に呼ばれた時、理事長凄い引き止めてたけど……ファンって!


頭が痛くなってきたからアイスノンを額に当てると、先生が急に近付いてきて、耳元で囁く。


「美月のそばにもいたいしね」

「……いてよ」


恥ずかしさをしのんで、あたしは言った。きっともう、本当に凄く顔が赤いだろうけど。


「……くっ……」

「何笑ってんの!」


そうだ、こういう人だった……!人が頑張って素直になると、すぐ笑う!


「いや、ははっ! 嬉しくて、つい」

「……」


そう言う先生の表情は本当に嬉しそうだから、怒る気力なんてどこかに消えてしまった。