それから洋子はずっと泣いて…


俺は膝を貸しながらそれを見ていた。


しばらくしたら、洋子はピタリと動かなくなった。


「洋子?」


洋子は眠ってしまっていた。


よっぽど疲れたんだろう。


泣いたり寝たり忙しいやつだ。


俺はベッドに洋子を寝かせ、布団をかけてやった。






こうしてると、10年前のあの時を思い出す。


あの時、俺は何も出来なかった。


ただ洋子が泣いているのを見ていることしか出来なかった。


あの事件の後、俺はステ神と契約し、洋子のもとを離れた。


強くなるため。


今度こそ洋子を守りたかった。


そして10年経った今、昭人さんの死をきっかけに戻ってきた。


再び洋子を守るためだ。


もう2度と洋子にあんな思いはさせない。


でも…


嫌な予感がする。


灰音の言っていたことも気になる。


何かが引っ掛かってるんだ。


何かが……