女は寂しそうに唇をゆがめた。

「あなたには生徒がどうなったって関係ないでしょう?どうしてこんなバカな事を・・・。殺したくなかったのに」

 右手を水平に静かに上げる女の手には銃が握られていた。

 まっすぐに銃口が佳織をとらえている。


「私・・・私っ・・・」
佳織は必死で生徒たちに助けを求めるように顔を向けるが、誰もが視線をそらしていた。すでに両手で顔を押さえて忍び泣く者までいた。

 女は首を力なく振ると、
「私だってこんなことしたくない。だから、あなたみたいに関係のない人は殺したくなかった」
と、佳織を見つめた。

 その時、佳織ははじめて女の目から涙がこぼれているのに気づいた。

「いやだ・・・死にたくない、死にたくない!」