病院の正面に戻ると、先ほどより日差しがあふれ暖かく感じた。

「これから空港ですか?」
植園が尋ねた。

「ええ、しばらくは家でのんびりします」
潤はバッグを持ち直しながら答えた。

「それがいいかもしれませんね。また捜査上で何かあればご連絡することもあると思いますが、よろしくお願いします」

「分かりました。早く犯人が見つかることを祈っています」
そう言うと、潤はふたりにお辞儀をした。

 一瞬だけ植園と目を合わせると、もう潤は振り返らずに歩き出した。


 北海道はもっと寒いだろう。

 まるで知らない土地に行くように不安な気持ちなのは何故だろう。


 風が歩道の端の枯葉を踊らせ、潤の心を突き抜けて舞い上がる。